両立支援等助成金不妊治療・月経・更年期健康経営連動一次ソース確認済

両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース2026年度版|最大90万円・3項目の要件・申請手順を完全解説

不妊治療・月経(PMS)・更年期の3つの女性健康課題に対応する制度を整備し、労働者が実際に利用した場合に最大90万円を助成。健康経営優良法人の認定要件ともリンクする注目制度。

2026年4月21日

90万円

3項目×30万円 最大支給額

3項目

不妊治療・月経・更年期 各独立申請

5

制度利用が合計5日(回)で申請可能

2ヶ月

5日到達の翌日から申請期限

柴 悠介

著者 / Author

柴 悠介

株式会社リクステップ CEO / K-Drive株式会社 CTO。100社以上への助成金・補助金申請サポート実績。本記事は厚生労働省「両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)支給要領」令和8年4月1日時点および「両立支援等助成金支給申請の手引き(2026〈令和8〉年度版)」を一次資料として作成。

1制度の概要と創設の背景

日本では、不妊治療を受ける人の約44%が「仕事と両立できず治療を断念または転職・離職した」経験を持つとされており(厚生労働省令和5年度調査)、女性の健康課題と就業継続の問題は深刻化しています。月経(PMS含む)・更年期症状による欠勤・生産性低下も深刻で、女性の活躍を阻害する要因となっています。

こうした背景から、令和7年度に従来の「不妊治療両立支援コース」を拡充し、月経・更年期も対象に加えた「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」が新設されました。制度を整備し、労働者が実際に利用した場合に助成することで、女性が継続して活躍できる職場環境の整備を促進しています。

23つの支給対象項目と支給額

支給対象となる項目は以下の3つです。それぞれ独立して申請できるため、1項目から取り組むことも可能です。

項目①

30万円

1事業主1回限り

不妊治療と仕事の両立不妊治療のための両立支援制度(休暇・時差出勤・テレワーク等)を導入し、対象労働者が1年以内に合計5日(回)以上利用した場合

項目②

30万円

1事業主1回限り

月経(PMS含む)への対応月経に起因する症状(PMS含む)への対応のための支援制度を導入し、対象労働者が1年以内に合計5日(回)以上利用した場合

項目③

30万円

1事業主1回限り

更年期への対応更年期における心身の不調への対応のための支援制度を導入し、対象労働者が1年以内に合計5日(回)以上利用した場合

項目支給額申請期限回数
① 不妊治療と仕事の両立30万円5日(回)利用の翌日から2ヶ月以内1事業主1回限り
② 月経(PMS含む)への対応30万円5日(回)利用の翌日から2ヶ月以内1事業主1回限り
③ 更年期への対応30万円5日(回)利用の翌日から2ヶ月以内1事業主1回限り
3項目すべて取り組んだ場合の合計最大90万円各項目ごとに個別申請通算最大90万円

3対象事業主・対象労働者の要件

対象事業主

中小企業事業主が対象です(大企業は対象外)。資本金の額または常時雇用する労働者数のどちらかが以下の基準に該当すること。

業種資本金・出資額常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他(製造業・建設業等)3億円以下300人以下

対象労働者

  • 制度利用開始日において、支給対象となる事業主に雇用されている雇用保険被保険者であること
  • ①不妊治療のため、②月経(PMS)のため、③更年期症状のため、各項目に対応する制度を利用すること
  • 制度の利用が確認できること(利用目的が確認できる書類が必要)

4導入できる両立支援制度の種類

各項目(不妊治療・月経・更年期)に対して、以下の6種類の制度のうち1つ以上を就業規則等に規定し、対象労働者が利用できるようにする必要があります。

制度の種類具体的な内容注意点
A. 休暇制度不妊治療・月経・更年期のための休暇(有給・無給どちらでもOK)。特定目的でも多目的でも可(例:「フレキシブル休暇」等)年次有給休暇とは別に設ける必要あり(法定の年休はA.の制度として認められない)
B. 所定外労働制限制度残業を免除する(所定外労働を制限する)制度変形労働時間制・フレックス・裁量労働制が適用される労働者は利用対象外になる場合あり
C. 時差出勤制度始業・終業時刻を通常と異なる時刻に変更できる制度同上の適用がある労働者は制度利用対象外になる場合あり
D. 短時間勤務制度1日の所定労働時間を1時間以上短縮する制度制度利用中の時間当たり基本給等が利用前より下回っていないこと。正規→非正規の転換NG
E. フレックスタイム制始業・終業時刻を労働者が自由に決められる制度既にフレックスが適用されている労働者は「新たに利用」とはならないため注意
F. 在宅勤務等(テレワーク)自宅等での勤務を認めるテレワーク制度不妊治療・月経・更年期のために利用したことが確認できる日のみカウント

5支給要件の5つのステップ

この助成金を受給するには、以下の5つの要件をすべて満たす必要があります。順を追って準備しましょう。

1

社内ニーズ調査の実施

自社の従業員に対して、不妊治療・月経・更年期の課題と仕事との両立のためのニーズ調査を実施する。アンケート形式でよく、個人を特定しない形でも可。調査実施の記録(実施日・方法・結果の概要)を保存しておくこと。

初回の制度利用開始前までに完了が必要
2

方針の策定・周知

不妊治療・月経・更年期への対応に関する会社の方針を策定し、全労働者に周知する。社内通知・イントラネット・朝礼等での周知が該当。周知した記録(通知文・周知日等)を保管すること。

書面または電子記録で証拠を保管
3

就業規則への規定と周知

A〜Fの両立支援制度のうち1つ以上を労働協約または就業規則に明記する。最初の制度利用開始日の前日までに就業規則への規定を完了する必要がある。ただし、所轄労働基準監督署への届出と社内周知(10人未満の事業場は周知のみ)は、支給対象の従業員が制度利用を終了する日の前日までに行えばよい。

⚠ 就業規則への規定は利用開始前日まで必須
4

両立支援担当者の選任

不妊治療・月経・更年期に関する労働者からの相談に対応できる「両立支援担当者」を選任する。担当者は事業主本人・雇用する労働者・社労士・産業医・保健師・看護師等の外部専門家でも可。不妊治療・月経・更年期ごとに別の担当者を選任しても構わない。

選任の記録(選任通知書等)を作成・保管
5

両立支援プランの作成と制度の利用(5日以上)

両立支援担当者が、制度を利用する対象労働者のために「両立支援プラン」を作成する(対象となる課題・利用する制度・利用期間等を記載)。その後、対象労働者が制度利用開始日から1年の間に合計5日(回)以上制度を利用したことが申請の条件。利用実績は証明書類(シフト表・出勤簿・不妊治療連絡カード等)で証明できるように保管しておくこと。

5日(回)達成後2ヶ月以内に申請

6申請から入金までのスケジュール

不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース——準備〜入金の流れ

今すぐ

📋

社内ニーズ調査の実施・方針策定・周知

従業員アンケート(匿名可)で不妊治療・月経・更年期への支援ニーズを確認。会社の方針を策定し全従業員に周知。これらは制度利用開始前までに完了する必要がある。

準備①

📝

就業規則への制度規定(利用開始日の前日までに)

A〜Fの両立支援制度を就業規則に追記・改定する。社労士に依頼する場合は時間的余裕をもって進める。この規定が最初の制度利用開始日の前日までに完了していないと助成対象にならない。

⚠ 利用開始前日まで必須

準備②

👤

両立支援担当者の選任・両立支援プランの作成

両立支援担当者を選任し、制度利用を希望する対象労働者と面談の上で両立支援プランを作成する。不妊治療については「不妊治療連絡カード」(厚労省が無料提供)を活用すると書面化しやすい。

実施

📅

対象労働者が制度を利用(合計5日(回)以上を目指す)

対象労働者が制度利用開始日から1年以内に合計5日(回)以上利用する。利用実績は出勤簿・シフト表・受診証明書等で証明できるよう記録を保管。複数の従業員が利用した場合も1事業主1回限りの助成のみ。

合計5日(回)以上

申請

📤

5日(回)到達後2ヶ月以内に支給申請書を提出

管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)に支給申請書・各種証拠書類を提出(郵送・持参・電子申請)。電子申請は雇用関係助成金ポータルから可能(GビズIDプライムが必要)。2ヶ月の申請期限を厳守。期限を過ぎると一切受理されない。

⚠ 期限超過は一切受理されない

入金

💰

審査・支給決定 → 助成金振り込み

審査を経て支給決定後に指定口座へ振り込まれる。不妊治療については診断書・領収書・不妊治療連絡カード等の追加書類の提出を求められる場合がある。

申請から入金:1〜3ヶ月程度

主な提出書類(申請時)

支給申請書(様式は厚生労働省公式ページからダウンロード)
両立支援制度の内容が確認できる就業規則等の写し
社内ニーズ調査の実施を確認できる書類
方針の周知を確認できる書類
両立支援担当者の選任を確認できる書類
両立支援プランの写し
対象労働者の雇用保険加入を確認できる書類
制度利用実績を確認できる書類(出勤簿・シフト表等)
不妊治療:受診事実を確認できる書類(診断書・不妊治療連絡カード等)

7健康経営優良法人との連動——相乗効果を最大化する

この助成金の取り組みは、健康経営優良法人の認定要件と複数の点で連動しています。リクステップがサポートしているK-Driveの健康経営サービスと組み合わせることで、助成金受給と健康経営認定取得の両方を同時に実現できます。

健康経営優良法人の認定要件と不妊治療・女性健康課題対応の連動ポイント

女性の健康増進の取り組み

健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定要件に「女性の健康増進に関する取り組み」が含まれる。月経・更年期への対応制度の整備はこの要件を満たす具体的な取り組みとして評価される。

不妊治療との両立支援

「くるみんプラス」認定(不妊治療と仕事との両立に取り組む企業を認定)の取得により、在留資格審査でのカテゴリー優遇も受けられる(外国人採用企業にも有利)。

相談体制の整備

両立支援担当者の選任は、健康経営で求められる「健康相談体制の整備」にもつながる。産業医・保健師の活用でさらに要件充足度が高まる。

離職率低下・採用競争力

制度整備により女性従業員の定着率が向上し、採用時のアピールポイントになる。健康経営優良法人認定と合わせて「女性が働きやすい会社」として差別化できる。

8よくある失敗と注意点

「女性従業員のために何かしたい」——まず無料診断から

不妊治療・月経・更年期の3項目全部取り組めば最大90万円。
健康経営優良法人の認定取得とも組み合わせて一石二鳥の取り組みを実現します。
100社以上のサポート実績を持つリクステップが、就業規則整備から申請まで伴走します。

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よくある質問(FAQ)

現在、不妊治療中の従業員はいません。制度を整備しておくだけでは助成金は受給できませんか?

制度の整備だけでは助成金を受給できません。対象労働者が実際に制度を利用し、1年以内に合計5日(回)以上の利用実績が必要です。ただし、制度を整備しておくことで将来的に対象となる従業員が現れたときにすぐ申請できる状態になります。就業規則整備や方針周知は今から取り組んでおくとよいでしょう。

男性従業員も不妊治療のために制度を利用した場合、カウントされますか?

カウントされます。不妊治療の両立支援制度は男女問わず利用できます。男性も不妊治療のために通院することがあり、その際に制度を利用した場合も助成対象の利用日数にカウントされます。

月経のための制度と更年期のための制度は、同じ制度(例:フレックスタイム)でもOKですか?

同じ制度を複数の項目に活用することは可能です。例えば「フレックスタイム制」を就業規則に規定し、①不妊治療のため・②月経のため・③更年期のためそれぞれに利用する制度として設定することができます。ただし、各項目の利用実績は独立して管理・記録する必要があります。

複数の従業員が制度を利用した場合、1人30万円×利用人数分もらえますか?

いいえ。支給は各項目1事業主1回限りです。10人の従業員が不妊治療のために制度を利用しても、支給額は30万円のみです。「複数人が利用した場合に何度も申請できる」という制度ではありませんのでご注意ください。

「不妊治療のために利用したことが確認できる書類」とはどんなものが必要ですか?

主に以下の書類の提出を求められる場合があります。①受診日・治療期間・受診先医療機関名が確認できる書類、②医師の診断書または証明書、③医療費の領収書、④「不妊治療連絡カード」(厚生労働省が無料提供するツール、従業員が医師に記入してもらい会社に提出するカード)。月経・更年期については診断書や医師証明書等が求められる場合があります。具体的な必要書類は申請前に管轄の労働局に確認することをお勧めします。

年次有給休暇を使って不妊治療に通った日はカウントされますか?

通常の法定年次有給休暇(労働基準法第39条)を利用した日はカウントされません。ただし、失効年次有給休暇を積み立てて不妊治療のために利用できる制度(積立有給制度)は「A.休暇制度」として認められます。また、有給の生理休暇(月経困難症等への対応として別途規定したもの)も対象になります。詳細は支給要領で確認してください。