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株式会社リクステップ 採用支援チーム
採用戦略設計・RPO運用を担当。中小企業・ベンチャー向けの採用改善を支援。本記事はリファラル採用規程の作り方とコピペ可能なテンプレート(全12条)を実務目線で整理しています。
リファラル採用は採用コストを抑えながらミスマッチを減らせる有効な手法ですが、規程設計が曖昧なまま始めると「報酬をもらえると思っていた」「自分は対象外なのか」といったトラブルが発生します。本記事では規程の必須項目・コピペ可能なテンプレート・報酬相場・法的注意点・制度が使われない原因と対策まで解説します。
1なぜリファラル採用に「規程」が必要なのか
口約束・慣習での運用がトラブルの温床になる
「人を紹介してくれたら謝礼を出す」という口約束で始める企業は少なくありません。しかし条件が明文化されていないと、以下のようなトラブルが起きやすくなります。
報酬トラブル・不公平感
金額・支払いタイミング・支払い条件が曖昧だと「あの部署は報酬をもらったのに自分はもらえなかった」「試用期間中に退職したら報酬を返せと言われた」といった不満や混乱が生まれます。金銭に関わるルールは特に明文化が必要です。
法令遵守の観点
紹介報酬の扱いを誤ると職業安定法・労働基準法・所得税法上の問題が発生する可能性があります。社内制度としての位置づけを規程で明確にすることが法令リスクの回避につながります。
採用基準の公平性
紹介された候補者を通常の選考なしに採用すると公平性の問題が生じます。規程に「紹介候補者も通常選考を経ること」を明記することで選考基準の一貫性を保てます。
2規程に盛り込むべき5つの必須項目
この5要素が揃っていれば、大半のトラブルは防げる
採用コスト削減・マッチング精度向上・定着率向上など制度を設ける目的を明記します。「誰が紹介者になれるか」の定義も重要です。採用業務に直接関与する人事・採用担当者を対象外にするかを先に決めてください(利益相反の防止)。役員・業務委託・派遣社員・退職予定者は対象外とする企業が多数です。
📌 ポイント:目的の定義は「社内制度であること」の証明にもなり、職業安定法上の「職業紹介」との区別を明確にするためにも重要です。
紹介方法の詳細(専用フォーム・メール・Slack等)は規程本文に書かず「会社が定める方法」として運用ガイドに分離するのが安全です。最重要は「紹介された候補者も通常の選考プロセスを経ること」を明記すること。これがないと「なぜ紹介者は書類審査が免除されるのか」という疑念が生まれます。
📌 ポイント:紹介者と被紹介者が同一部署に配属される場合の方針(上司・部下関係になる場合の取り扱い等)も検討しておくと安心です。
金額は規程本文に固定値で書かず、別表(報酬基準表)で管理する方式が運用しやすいです(変更のたびの規程改定・届出が不要に)。支払い条件では①入社後の最低在籍期間(3〜6ヶ月)で早期退職リスクに対応②支払いタイミングの明確化③分割払いの場合は条件を詳細化、が重要です。
📌 ポイント:在籍要件を設ける場合、「被紹介者が在籍していること」と「紹介者が在籍していること」の両方を条件にするかを決めておいてください。
禁止事項を明記しないと「報酬目的で無関係な知人を大量に紹介」「強引な勧誘で職場関係が悪化」といった問題が起きます。【主な禁止事項】虚偽・誇大な説明による勧誘/強引な勧誘・ハラスメント/採用可否の約束・示唆/他経路で応募・選考済み候補者の再紹介。【不支給条件】採用不成立/試用期間中の退職/規程違反/紹介者が支給日時点で在籍していない(設定する場合)。
制度は運用しながら見直すのが前提です。改定権限・施行日の定め方・遡及適用の有無を明記しておくと制度変更時の混乱を減らせます。「報酬金額を下げる改定はいつの紹介分から適用されるか」が曖昧だとトラブルの原因になります。「改定後は改定日以降の紹介分に適用する」と明記しておくのが安全です。
📌 ポイント:例外対応(規程に定めのないケース)は会社判断に委ねる旨を書いておくと、想定外の状況への対応に柔軟性が生まれます。
3紹介報酬の金額相場
職種・難易度・採用単価で決める。低すぎても高すぎても逆効果
紹介報酬に「正解の金額」はありませんが、職種の採用難易度・通常の採用単価(媒体費・エージェント成功報酬)と比較して設定するのが基本です。低すぎると動機にならず、高すぎると報酬目的の質の低い紹介が増えます。
| 職種・ポジション | 紹介報酬の相場 | 設定の考え方 |
|---|---|---|
| 一般職・事務・アルバイト | 3,000円〜3万円 | 採用単価が低く報酬も小さめに。QUOカード・商品券で代替する企業も多い |
| 総合職・中途(一般) | 3万〜10万円 | 媒体費用の1〜2ヶ月分程度を目安にする企業が多い |
| エンジニア・専門職 | 10万〜30万円 | エージェント成功報酬(年収の20〜35%)と比較して設定。採用難度が高いほど高め |
| 管理職・マネージャー | 20万〜50万円 | ポジション価値が高く採用コストも大きい。高額すぎると税務・法務リスクに注意 |
4規程のサンプル条文(コピペ用テンプレート全12条)
実務で使える汎用テンプレート。就業規則との整合性確認は必須
〇〇株式会社 リファラル採用制度規程
コピペして自社に合わせて修正してください
第1条(目的)
本規程は、社員による人材紹介を通じて、当社に適した人材の採用を促進し、採用の質の向上および採用コストの適正化を図ることを目的とする。
第2条(定義)
本規程において「リファラル採用」とは、社員が当社への就職を希望する知人・友人等を紹介し、当社が採用選考を行う採用活動をいう。
第3条(対象者)
本制度の対象となる紹介者は、本規程施行時点において当社に在籍する正社員・契約社員とする。ただし、一 採用業務に直接関与している者(採用担当者・人事責任者等)/二 雇用終了が確定している者(退職届の提出後等)/三 会社が別途対象外と定めた者、は対象外とする。
第4条(紹介の方法)
社員は、会社が別途定める方法(専用フォーム・指定窓口等)により候補者を紹介するものとする。紹介にあたり、候補者に対し採用を約束する等の不適切な言動を行ってはならない。
第5条(選考方法)
紹介された候補者も、通常の採用選考プロセスを経るものとする。紹介の事実をもって採用を優遇または約束するものではない。
第6条(紹介報酬)
会社は、第7条に定める支給条件をすべて満たした場合に、別表に定める紹介報酬を紹介者に支給する。紹介報酬の金額は、ポジション・職種等に応じて別表で定める。
第7条(支給条件)
紹介報酬の支給は、次のすべての条件を満たした場合に行う。一 紹介者が第3条に定める対象者であること/二 被紹介者が当社の採用選考を経て正式採用されたこと/三 被紹介者が入社後〇ヶ月間(別表に定める期間)在籍していること/四 支給日において紹介者が当社に在籍していること(※削除も可)/五 本規程に違反する行為がないこと。
第8条(支払い時期)
紹介報酬は、第7条の支給条件充足確認後、翌月の給与支払日に通常の給与と合算して支払う。なお、所得税等の控除は法令に従い行う。
第9条(禁止事項)
紹介者は、次の行為を行ってはならない。一 虚偽または誇大な情報・説明による候補者の勧誘/二 強引な勧誘・嫌がらせその他ハラスメントに該当する行為/三 採用可否の確約・示唆/四 報酬目的のみを意図した不適切な紹介/五 その他会社が不適切と判断する行為。
第10条(不支給条件)
次の各号に該当する場合、紹介報酬は支給しない。一 採用選考の結果、不採用となった場合/二 被紹介者が過去に当社に応募・選考を受けたことがある場合/三 在籍期間満了前に退職した場合/四 第9条の禁止事項に違反した場合/五 その他会社が不支給を相当と判断した場合。
第11条(個人情報の取扱い)
紹介者は、候補者の個人情報を当社の採用活動の目的に限り使用し、第三者への提供その他不適切な利用を行ってはならない。
第12条(規程の改定)
本規程は、会社の判断により随時改定することができる。改定した場合は、社内掲示・社内システム等により周知し、改定日以降の紹介分から適用する。
⚠ 付則:本規程は〇〇年〇月〇日から施行する。本規程の解釈に疑義が生じた場合は会社が判断する。本規程に定めのない事項については会社が別途定めるところによる。
5法的・税務的な注意点
3つのリスクを事前に理解して設計する
職業安定法:「業としての紹介」との境界線
職業安定法では報酬を受けて職業紹介を行う行為には許可が必要とされています(第30条)。一般的には①社内制度として規程化されている②紹介者が雇用関係にある社員である③高額報酬による常態的な紹介ではない、を満たす場合は職業紹介業には該当しないと解されます。ただし高額報酬を設定する場合は社労士・弁護士への確認が安全です。
✓ 対応策:報酬額が高額になる場合や紹介件数が非常に多い社員がいる場合は、制度設計前に社労士・弁護士に確認する。規程に「社内制度としての趣旨」を明記しておくことも有効。
税務:紹介報酬は給与所得として扱われる
社員に現金で支払う紹介報酬は一般的に給与所得として取り扱われ、支払い時に所得税・住民税の源泉徴収が必要です。毎月の給与明細に反映し年末調整・源泉徴収票に含めて処理するのが通常です。QUOカード・商品券等の現物支給も経済的利益として課税されます。賃金台帳への記録義務(労基法第108条)の対象となる可能性もあります。
✓ 対応策:制度設計前に経理担当者と「給与明細への記載方法」「源泉徴収の処理」「賃金台帳への記録」を確認・統一しておく。
就業規則の変更が必要なケース
既存の就業規則・賃金規程に定めがない新たな報酬制度を追加する場合、就業規則の変更手続きが必要になる可能性があります(労基法第89条・第90条)。常時10人以上を使用する事業場では、就業規則の変更→過半数代表者への意見聴取→労基署への届出が必要になる場合があります。包括的な規定がある場合は変更手続きが不要なケースもあります。
✓ 対応策:規程新設前に、現行の就業規則・賃金規程の内容を確認し、変更手続きの要否を社労士に確認する。
6規程を作っただけでは失敗する?運用の壁と対策
制度の失敗は「設計の問題」より「運用の問題」から起きることが多い
制度はあるが使われない最多の失敗
規程を整備したのに誰も紹介してこない——最も多い失敗パターンです。原因は周知不足と「紹介のしにくさ」。「会社に規程がある」だけでは社員は動きません。「今どのポジションを探しているか」「紹介するとどうなるか」「過去の紹介成功事例」を継続的に伝えなければ制度は形骸化します。
紹介後のフィードバックが遅くて信頼を失う
「紹介したのに選考結果を全く教えてもらえない」という体験をした社員は次回以降の紹介をしなくなります。紹介者は候補者と会社の橋渡し役です。選考進捗・結果が適切なタイミングで届かないと、紹介者・被紹介者の双方が不満を持ちます。
人事担当者の業務負担が増加する
リファラル採用が活発になると紹介者管理・被紹介者の選考対応・報酬計算・税務処理など人事工数が増加します。管理体制を先に設計しないと採用全体のスピードが落ちる逆効果が起きます。特に中小企業では兼務が多く、リファラル管理が他業務を圧迫しやすいです。
7リファラル採用規程 作成・運用チェックリスト
規程作成前・運用開始前に全項目を確認してください。
- □制度の目的・対象者(紹介者の範囲)を定義している
- □採用業務従事者を対象外にしている
- □紹介された候補者も通常選考を経ると明記している
- □報酬金額を別表管理(本文に固定値で書いていない)にしている
- □支払い条件(在籍期間・支払タイミング)を明確化している
- □禁止事項・不支給条件を具体的に列挙している
- □個人情報の取扱いについて明記している
- □就業規則・賃金規程との整合性を確認した
- □経理担当と税務上の処理方法を統一した
- □社員への周知方法・説明会の予定が決まっている
- □紹介後のフィードバック期限(5営業日以内等)を決めている
- □紹介者・被紹介者の管理方法(ツール・担当者)が決まっている
「リファラル採用の制度設計から運用まで任せたい」
規程の整備・社員周知の設計・採用全体の最適化まで。
リクステップが実務を担いながら採用成果を上げます。まず無料相談でご相談ください。
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よくある質問(FAQ)
リファラル採用規程は就業規則とは別紙でも運用できますか?
運用自体は可能ですが、紹介報酬の扱いが賃金規程や賞与規程に関わる場合は、既存規程との整合性確認が必要です。また、常時10人以上を雇用する事業場では就業規則変更手続き(過半数代表者の意見聴取→労基署届出)が必要になる場合があります。実運用前に社労士・弁護士への確認が安全です。
紹介報酬はいくらに設定するのが適切ですか?
一般職・事務:3,000円〜3万円、中途一般職:3〜10万円、エンジニア・専門職:10〜30万円、管理職:20〜50万円が相場の目安です。ただし正解はなく、通常の採用コスト(媒体費・エージェント成功報酬)と比較して設定するのが基本です。最初は小さい金額で始め、運用データを見て見直す設計が実務的です。
制度を作っても紹介が増えない場合はどうすればいいですか?
原因の多くは「社員が今どのポジションを募集しているか知らない」「紹介フォームが面倒」「紹介後に何の音沙汰もない」の3つです。毎月の募集ポジション一覧の配布、フォームの簡素化、紹介後5営業日以内のフィードバックの3点を改善するだけで紹介数が増えるケースが多いです。
紹介報酬を現金以外(QUOカード・Amazonギフト等)で支給することは可能ですか?
支給自体は可能ですが、現物支給も経済的利益として給与所得課税の対象になります。「現物だから課税されない」という認識は誤りで、金額が少額(一定基準以下)の場合に非課税扱いになるケースもありますが、詳細は税理士・社労士に確認してください。現金支給の方が経理処理がシンプルです。
紹介された候補者が入社後すぐ退職した場合、報酬は返還させることができますか?
報酬を返還させることは、労働基準法第16条(賠償予定の禁止)に抵触する可能性があるため注意が必要です。一般的には「在籍〇ヶ月未満の場合は支給しない(不支給条件)」として返還ではなく「未払い」の形で処理するのが安全です。すでに支払った報酬の返還を求める条項は規程に入れない方が無難です。
リファラル採用の運用を採用代行(RPO)に任せることはできますか?
制度設計の整理・社員周知の設計・紹介者管理・応募者対応・進捗管理まで、RPOが担える領域は多いです。ただし社員個人の紹介行動そのもの(誰に声をかけるか)は外部では代替できないため、社内の紹介文化の醸成部分は社内主体で行う必要があります。リクステップでは制度設計から運用体制の整備まで支援しています。




