1質問を選ぶ前に、訪問後に決めたいことを一つ置く
OB・OG訪問の質問は、企業選びでまだ分からないことを一つ決め、その人が実際に経験した仕事の場面を尋ねる形にすると整理できます。答えを聞いたら、いつ・どの部署の話なのかを添えて記録し、会社全体の制度とは分けて確認しましょう。質問数を増やすことより、訪問前の疑問がどこまで解けたかが大切です。
たとえば「この業界に興味はあるが、日々どんな作業をするか分からない」と「応募したいが、入社後の育成の進み方を確かめたい」では、必要な質問が異なります。前者なら仕事の流れ、後者なら新人時代に任された業務や相談の機会を中心に置きます。まだ志望先が決まっていなくても、仕事内容を理解したいという目的で準備できます。
ノートの最初に「訪問後に判断したいこと」を一文で書いてください。「この会社が良いか」では範囲が広いため、「顧客への提案と、その後の調整のどちらに多くの時間を使う仕事か」など、自分の関心に近い単位へ分けます。そのうえで、絶対に聞きたい質問と、時間があれば聞きたい質問を分けましょう。
一橋大学の公開資料「OB・OG訪問の進め方」でも、企業の基本情報を調べ、分かったことと不明点を整理してから質問を準備する流れが示されています。本記事ではその準備に加え、回答の対象範囲を記録し、次に誰へ確認するかまで残す独自のシートを用意しました。大学や紹介サービスを利用する際は、それぞれの最新の利用ルールを確認してください。
2訪問相手の経験と、質問の範囲を合わせる
同じ企業で働いていても、部署・職種・入社時期によって経験は異なります。事前に公開プロフィールや紹介時の情報を確認し、当日の冒頭でも現在の担当業務を差し支えない範囲で尋ねます。以前所属していた部署の話なら、現在の状況を知っているとは限りません。
仕事の進め方を知りたいときは、その業務を経験した人の話が参考になります。一方、新卒の配属ルールや募集条件の最終確認は採用窓口へ回すほうが適切なこともあります。社員個人が分からないと答えた場合、それを会社の説明不足とすぐに結び付けず、質問先を切り替えましょう。
最初に「仕事内容の理解を深めたく、普段の進め方と、新人のころに困った場面を中心に伺いたいです」と伝えると、話の範囲を共有できます。事前に質問を送れる場合も、長い質問集を丸ごと送るのではなく、今回の目的と優先する項目を短くまとめます。資料の作成や事前回答を当然のように依頼する必要はありません。
面談時間は相手と合意した枠を守ります。終わりが近づいたら、残りの質問を詰め込むより「最後に一つ伺ってもよろしいでしょうか」と確認します。追加の面談や別の社員の紹介も、相手に対応義務があるものではありません。難しい場合に備えて、説明会や公開情報など別の調べ方を残しておきます。
3仕事の一場面が分かる質問に書き換える
「やりがいは何ですか」「社風は良いですか」と聞くだけでは、相手の印象は分かっても、自分が働く姿を想像しにくいことがあります。仕事内容、判断の場面、周囲とのやり取りへ分けると、回答を企業選びに使いやすくなります。以下は本記事で作成した質問例です。すべてを使わず、知りたいことと相手の経験に合うものを選んでください。
一つの質問に複数の論点を詰めないことも大切です。「仕事内容と残業と研修とキャリアを教えてください」では、答えの一部を聞き落としやすくなります。まず普段の仕事を聞き、回答に出てきた場面から追加で一つ尋ねるほうが、話のつながりを保てます。
働く条件について確認したい場合も、個人の年収や家庭事情を聞き出す必要はありません。知りたいのが勤務時間なら、担当業務の忙しさが変わる時期や、チームで調整する方法を尋ねます。制度の適用条件や最新の募集条件は、公開資料・採用窓口で確認する事項として別に残します。
回答しづらそうな話題は、理由を追及せず切り替えて構いません。顧客名、未公開の計画、社内資料などを求めなくても、一般化した仕事の進め方は聞ける場合があります。「社外にお話しできる範囲で」と添えたうえで、相手が共有できる範囲を尊重しましょう。
| 知りたいこと | 質問例 | 回答後に見る点 |
|---|---|---|
| 日々の作業 | 最近の通常の一日では、どの作業に時間を使いましたか? | 繁忙期との違いを確かめる |
| 新人への支援 | 初めて担当した業務で迷ったとき、どのように相談しましたか? | 本人の工夫と組織の仕組みを分ける |
| 仕事の連携 | 一つの仕事が終わるまでに、どの部署とやり取りしますか? | 受け渡す情報や役割を聞く |
| 判断する範囲 | 担当者だけで決めることと、確認を受けることはどう分かれていますか? | 具体的な場面を一つ聞く |
| 入社前後の違い | 実際に働いて初めて気付いた作業はありましたか? | 自分の想像との違いを整理する |
4追加質問は、答えの範囲を確かめるために使う
「若手にも任せてもらえます」と聞いたとき、すぐに「自分も入社直後から自由に働ける」と書き換えないようにします。任される作業、本人が決められる部分、上司の確認が必要な部分を聞けば、言葉の意味が具体的になります。期待する答えへ誘導するより、実際に起きたことを確かめる姿勢で臨みましょう。
たとえば、架空の会話として「入社一年目に提案資料を任された」という回答があったとします。続けて「資料の中でご自身が考えた部分と、先輩が確認した部分を教えていただけますか」と尋ねます。「若手が全部決める会社」とまとめるのではなく、任される工程と支援のあり方を理解するための質問です。
その経験が最近のものか、過去のものかも必要に応じて確認します。「今の部署でのお話でしょうか」「現在も同じ進め方ですか」と聞くことで、現在の自分の応募先と結び付けられる範囲が分かります。ただし、正確な年月や組織情報を答えられないときまで迫る必要はありません。未確認と残せば十分です。
メモは会話を妨げない量に絞ります。記録することを一声伝え、キーワードと追加で確かめたい点を残しましょう。録音・録画や外部の文字起こしサービスへの送信は、単にメモを取ることとは別です。相手と利用先のルールを確認し、許可なく会話データを外部へ渡さないようにします。
5回答・自分の解釈・未確認を別々に残す
訪問後のノートを「雰囲気が良かった」で終えると、別の会社と比べる材料が残りません。回答の要点、話された時期・部署、自分の受け止め、未確認のこと、次の確認先を一行ずつ記録します。相手の言葉を正確に覚えていない部分は、引用符で囲んで発言そのもののように扱わず、自分の要約と明記します。
次の表は架空の記入例です。「先輩へ毎日相談した」と聞いたことと、「会社に毎日の面談制度がある」と判断することは別です。前者はその人の経験であり、後者は制度の有無という追加確認が必要な情報です。話を大きく一般化しないだけで、応募前に確かめるべき点が見つけやすくなります。
別の社員の回答と違う場合は、どちらが正しいかを即断せず、部署、職種、時期、雇用区分など、話の条件が同じかを見ます。個人の経験が異なること自体は不自然ではありません。同じ条件でも説明が一致しない場合は、相手の氏名や発言を不用意に共有せず、制度そのものを採用窓口に確認しましょう。
訪問後のお礼では、時間をもらったことへの感謝と、理解が進んだ点を具体的に一つ伝えます。聞いた話をSNSへ載せたり、他の学生へ氏名付きで回したりする前には、共有してよい範囲を確認してください。自分の企業比較ノートにも、必要のない個人情報を蓄積しないようにします。
| 記録欄 | 記入内容 |
|---|---|
| 回答の要点(自分の要約) | 新人時代、分からない点を先輩へその都度相談した |
| 対象の範囲 | 訪問相手が最初に所属したチーム。時期は未確認 |
| 自分の受け止め | 相談しながら仕事を覚える進め方に関心がある |
| 未確認 | 全社の面談制度の有無、現在の新人支援の運用 |
| 次に行うこと | 採用ページの育成制度を読み、適用範囲を採用窓口へ確認する |
6次の企業との対話へつなげる
記録を見返し、最初に置いた「訪問後に判断したいこと」に答えられるか確かめます。興味が強くなった点と、まだ確かめたい点を一つずつ書けば、応募書類や次の面談で扱う内容が整理できます。訪問で聞いた言葉を志望動機へそのまま貼るのではなく、自分がなぜ関心を持ったかを説明しましょう。
OB・OGに会えない場合でも、企業を理解する方法はあります。採用サイト、仕事紹介、会社説明会を確認し、そこから分からなかったことを採用窓口や面接の質問へつなげます。訪問件数の多さを目標にせず、応募先の案内と自分が必要とする情報に合わせて準備を進めてください。
リクステップが構想する就活生向けマッチングアプリ「リクステ」は、企業と学生が相互に理解し、選び合う採用を目指しています。OB・OG訪問で整理した仕事への関心や確認したい条件は、企業との新しい対話にもつながります。リクステをOB・OG紹介サービスとして案内するものではありません。
公式紹介ページでは、2026年11月のサービスリリースを予定しています。記事公開時点で学生の利用開始を案内するものではないため、事業構想と最新の公開状況は以下の公式ページでご確認ください。
訪問前後の確認リスト
- 訪問後に判断したいことを一文にした
- 訪問相手の担当業務と質問の範囲が合っている
- 公式情報で分かる点と不明点を分けた
- 回答を個人の経験と会社の制度に分けて記録した
- 未確認の点と次の確認先を残した
- 相手が共有を認めていない話を外部へ出していない
参考資料
準備の基本は、一橋大学「OB・OG訪問の進め方」を参照しました。資料固有の名簿利用方法や連絡時間帯を、すべての大学・企業に共通するルールとして扱ってはいません。質問例と記録シートは本記事独自のものです。
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よくある質問(FAQ)
OB・OG訪問の質問はいくつ用意すればよいですか?
決まった数を埋めるより、合意した面談時間と目的に合わせて優先順位を付けます。必ず聞きたい内容と時間があれば聞く内容を分け、追加質問の余裕を残しましょう。
会社の制度を社員の話だけで判断してよいですか?
個人の経験と全社の制度は分けて記録します。最新の適用条件や募集条件は、公式資料や採用窓口で確認してください。
OB・OG訪問ができないときはどうすればよいですか?
採用サイトや説明会で調べ、不明点を採用窓口や面接で確認します。訪問件数より、企業選びに必要な情報がそろうかを基準に準備します。
